正しい知識を得て自分で把握することが大切!
海外では古くから習慣として一般的であったといわれるデリケートゾーンのケア。日本でもよく耳にするようになったものの、「実はよく知らない」「何をすればいいかわからない」と思っている人がまだいるのも事実です。必要な人だけがするものでも、スペシャルケアでもありません。デリケートゾーンも、顔や体、髪、歯と同じように各パーツに合った適切なケアをデイリーにすることが大切です!まずは、部位の特徴をしっかり理解することから始めましょう。
一般社団法人フェミーユメソッド協会 理事 講師
名越美絵 先生
女性の体と心についての基礎知識、ケアについてなどを講義し、フェムケアのアドバイザー/カウンセラー育成を目的とした協会を立ち上げ。ハーブ、アロマテラピーなどの自然療法から、最先端の美容クリニックサロン勤務までを経験。エステティシャン歴23年。エステティック、アロマテラピー、タイ伝承医学、東洋医学、アーユルヴェーダなど様々な分野を経験する。体と脳のつながり、人間の持つ恒常性機能に着目し、予防美容、食育にも力を入れている。自身の経験や知識をもとに、あらゆる化粧品等の開発監修なども歴任する。現在は麻布ウィメンズクリニックにて、産後ケア、更年期ケア、マタニティーケアなど、女性の不調に寄り添うサロンを経営。
目次
デリケートゾーンの“ケア”が必要なワケ
デリケートゾーンは体の中で一番“繊細”な部位
デリケートゾーンは皮膚の薄い部位です。
頭の上から足先まで、顔と体を覆う皮膚にも部位によって厚みや強さが異なり、薄い場所はそれだけ弱いということでもあります。
ご存知でしたか?カラダの経皮吸収率
成分などが皮膚を通して体内に吸収されることを経皮吸収と言います。この経皮吸収率は部位によって異なり、皮膚が弱いとされる場所ほど吸収率が高まります。つまり、このパーセンテージが高い部位は良いもの悪いもの問わず、皮膚から体内に吸収してしまうのです。デリケートゾーン(外陰部)は、体の中でも経皮吸収率がかなり高い部位であり、その名の通り繊細に扱わなければならない場所なのです。
専用ケアで安心安全に!
スキンケア用の洗顔や化粧品(UVケア製品など)をなぜ使用するのかというと、体の皮膚よりも薄く、経皮吸収率の高い場所とされており、体の皮膚と同じように洗ったり何かを塗ったりするのはリスクがあるからです。デリケートゾーンは繋がった同じ体の皮膚の一部ではありますが、経皮吸収率が高く、刺激に弱い部位です。そのため、例えば石鹸などの洗浄材や化粧水・美容液・クリームといった化粧品は、体用はもちろん、顔用のアイテムでもデリケートゾーンにとっては刺激が強過ぎてしまうものになります。だから、「デリケートゾーン用」と記載のあるアイテムを用いてのケアが勧められているのです。
デリケートゾーンの3大!?悩み
あらゆる悩みの多い場所
デリケートゾーンは繊細である分、不快症状やトラブルも多い部位です。特に感じることが多いとされる思春期や更年期だけでなく、年代を問わず悩みが全くないという方はほとんどいないと思います。人それぞれ感じ方は様々ですが、ニオイ、ムレやかゆみなどダイレクトに不快感を感じることも多いです。その他、おりものや経血(量やニオイなど)、アンダーヘア(毛量、かぶれ、見た目など)についてなど、デリケートゾーンという1つの場所でも症状・悩みは多様です。しかし、これらも正しい知識を持ってそれぞれの状態に合うケアを普段からすることで、不快感を減らせます。
中まで洗うのはNG!な理由 – 膣には⾃浄作⽤がある!
正しくケアをするために膣を知る
膣も、腸や皮膚と同じように常在菌が活動していることで健康な状態が保たれます。常在菌が膣の上皮細胞のグリコーゲン(多数のブドウ糖が複雑につながった多糖類)を食べて乳酸を産生し、pH値4.0前後の酸性に保つことで、病原細菌の増殖を防ぐ役割を果たします。これは膣には自浄作用があるということ。エストロゲンという女性ホルモン量の低下で乳酸菌が減少し、pHが上昇してアルカリ性に傾いてしまうと自浄作用が弱くなり、病原細菌が増殖しやすい環境になってしまいます。脂や汚れが落ちやすいとされる、ボディ用アルカリ性ソープでの洗い過ぎなども、膣の自浄作用を弱める原因となるので要注意です。免疫力の低下は膣の健康状態にも関わるので、睡眠や食事などに気をつけた規則正しい生活をすることも大切です。
膣の中まで洗ってはいけない!
免疫力が高いと膣粘液も高く、病原細菌などが増殖しにくい環境を保てる良い状態ということ。つまり、膣粘液が流されてしまうような状態を作ることも良くないので、中まで洗ってはいけないのです。生理時の経血やおりものが気になったり、かゆみがあるとつい中までゴシゴシと洗ってしまうという方がいますが、より状態を悪化させる原因にもなりますのでやめましょう。丁寧に優しく洗うことが大事ですが、洗い過ぎはNGです。
CARE01 “気になるニオイ”ケア
手軽にできるニオイ対策
汗腺から出るものやアンモニアなど汗や尿によるニオイ、膣から出る経血やおりもののニオイ、それら分泌物が下着やパンティライナーなどに付着し変化したり、菌増殖したものが発するニオイなど様々。かゆみなど他の症状がある人は病気の可能性も。また、デリケートゾーンは乾燥しやすい部位なので、保湿されている状態が望ましいです。肌に合わないアイテムを使っていたり、正しく洗えていないと、乾燥してニオイ発生の原因となることもあります。まずは、毎日正しく、丁寧に洗って清潔にすることを心がけましょう。
デリケートゾーンの正しい洗い方
刺激を与えず優しく丁寧にゆっくりと
専用アイテムを使用しても、洗い方に間違いがあるとケアになりません。膣の中までは洗わずに外陰部までを洗います。また、デリケートゾーンは外陰部などの膣周りだけではありません。尿口から肛門までが、皮膚が薄く弱い部位のため、前から後ろという手順で優しく洗いましょう。しっかりと泡立てて、指の腹を使って優しく洗います。ゴシゴシと力をいれて擦ったり、熱いお湯や勢いの強いシャワーなどを当てないようにしてください。刺激に弱い部位であり、色のくすみなどは擦れが原因でなることもあり、黒ずみやくすみを気にされている方はより丁寧に気を遣いながら洗うようにしましょう。
CARE02 “ムレ”や“かぶれ”について
原因は人それぞれ! 自己判断せずにケアを
かゆみやかぶれが強かったり長く続く場合などは、膣内の病原細菌が増殖して性病などにかかっていたり、免疫低下による膣炎などの疾病や炎症が原因で起きることもあります。そういう時は自己判断をせず、すぐ婦人科にかかりましょう。それ以外の場合、洗い過ぎなどの間違った洗い方をしていたり、使っているアイテムが合っていなかったりすることがあります。ムレによってかゆみやかぶれが起きることもあります。サイズの合わない下着で締め付けられたり、肌に合わない生理用ナプキンを使用したり、アンダーヘアの毛量が多い人などはムレやすい状況に。夏場など、汗をかきやすい人も注意が必要です。それらを解消するため、デリケートゾーンはできるだけ通気性を良くして清潔を保つことが大切です。
デリケートゾーンのお助けアイテム
ムレやかぶれに!「ふんてぃ」
締め付けられがちなデリケートゾーンの通気性を良くするには、解放が必要!柔らかなふんどしタイプのアンダーウェア「ふんてぃ」。気になる鼠蹊部の締め付けから解放され、オーガニックコットンでできたふんわりとした生地が優しく包み込みます。圧迫がなく履いてないほどの着心地の良さは、締め付けない習慣になるので、足の付け根の黒ずみやかぶれが気になる人にもおすすめです。
ニオイに!「yonii」
ストレスとなる、気になる下着からのモワッと臭には、部位専用のソープで洗うことが大切。サンスリット語でデリケートゾーンを意味する“ヨニ”から名付けられたyonii(ヨニ)エッセンスウォッシュは、気になるニオイだけでなく、その元となる汚れと乾燥のケアにも着目。汚れやすく乾きやすいデリケートゾーンを、常在菌バランスを保ちながら、余計な汚れを落とし、心地よくしっとりした状態へ導きます。
⽇常⽣活でも気をつけたい!「健康なデリケートゾーン」を保つためにしたいこと
デリケートゾーンの状態は健康のバロメーター!?
デリケートゾーンは、ニオイやかゆみがあるかどうか、経血やおりものの状態で月経や排卵状況、病気の有無などあらゆることを判断する必要のある部位でもあります。これらの状態は、直接部位のケア(洗い方、保湿対策、下着選びなど)が正しくできているかも大切ですが、そもそも心身の健康状態が良いことが前提であることを忘れてはいけません。ストレスや睡眠不足、偏った食生活などは、ホルモンバランスの乱れにもつながります。免疫力や抵抗力が下がると、膣内の常在菌バランスが崩れることで自浄作用が弱まりデリケートゾーンにトラブルが起きやすくなります。
自分の体をきちんと知ることで正しい知識を持ちましょう
痛みやかゆみなどの自分で感じる症状が出ていないからといって、デリケートゾーンのケアをしなくて良いということではありません。「毎日のケア」は、トラブルや病気予防として行うことが大切です。状態によって病院に行かなければならないのか、日頃のケアで解決できるのかという点も考えながら、自分できちんと知ることを大切にして快適に過ごしましょう。