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第2回 病気と食について
動物たちと健やかに暮らすために重視されている食事。今回はフードや食べることにまつわる話を近藤獣医師にうかがいました。
病気の複合的な原因の一つに食事があります
編集部 128号の肥満にも関連しますが、ペットの食事って大切ですよね。
近藤獣医師 病気の原因は複合的なのでフードだけが問題ではありませんので、誤解のないようにお願いします。
下痢や吐き気の問診で飼い主さんに聞くことについて
飼い主さんに問診するのはずばり「いつもと違う物を食べさせましたか?」です。以前「有名なフライドチキンをあげた」という回答があり、なるべくいつもと同じフードを与えるようおすすめしました。
ついあげたんでしょうね。
吐いた後も食欲があれば、単なる食べ過ぎを考えますね。胃酸が出過ぎている可能性があれば、ガスターなどの薬で抑えることもあります。ただ消化器疾患とは関係ない腎不全の場合も吐き気がでる場合があるのでご注意ください。下痢の場合も問診は同じで、大丈夫そうなら下痢止めを処方して様子を見てもらいます。
薬物療法と同じく食事療法も重要です
食事療法を指導する病気はありますか?
128号で紹介した肥満や糖尿をはじめ結石、アトピー、心臓病などほとんどそうですね。
ワンちゃんやネコちゃんに結石ができるのですか。
腎臓や膀胱などにでき、尿道が詰まると腎不全に発展し、最悪死亡してしまう可能性もあるんですよ。尿道の長いオスに起こりやすい症状と言えます。
ネコちゃんの採尿 1日がかりのことも
どのような症状がでますか?
頻尿や血尿ですね。残尿感がある為トイレにしゃがみ込んだまま動かないことで異変に気づく飼い主さんもいます。尿結石の場合、レントゲン検査と尿検査を行いますが、ネコちゃんの採尿はスムーズにいかないことがあり、1日預かることもあります。
やっと見つけた!体質にあったフード
結石の場合、どのような食事指導をされますか?
結石の素となるミネラルを抑えたフードを勧めますが、たくさんあるので試すしかありません。来院されている膀胱結石のワンちゃんは4種類目でようやく数値がよくなりました。
アトピー性皮膚炎発症の仕組みについて
実際に食事を変えて改善した例でいえば、アトピー性皮膚炎ですね。アレルギーを引き起こしやすい食べ物を含まないフードに変えることで改善するケースがあります。また最近ではフードを加水分解処理し、タンパク質の大きさを小さくすることでアレルギー反応を出にくくするフードが主流になりつつありますね。
いろんな要素が積み重なってアレルギーは発生します。コップに水を貯め続けるといつかあふれることを例に説明されます。それが下記イラストにある「コップの理論」です。
先生のおっしゃる通りいろんな要因が複雑に影響して病気になるんですね。
いろいろ試して病気を改善しましょう
アトピー性皮膚炎というと全身に症状が出ると思いがちですが、片方の耳にだけかゆみが出る場合もありますのでご注意ください。
症状の範囲が小さくても、病院に行った方がいいのですね。
ダニやノミが原因なら駆虫すればいいので、シャンプーを変えて緩和した例もあります。人間用を使われる方もいるのですが、ペット用にしてください。昔、食器洗剤で犬を洗われている飼い主さんがいて驚きました。そんなこと絶対にダメですよ。