美食の特等席 vol.7

30種類以上の野菜が入る優しくて雄大な由布岳のようなフレンチ。

由布岳が見守る恵み豊かな大地

別府から電車で約1時間。由布駅に近づくほどに山の緑と空の青さが濃くなっていき、リゾート地へ向かうワクワクが強くなります(取材に訪れたのは8月初旬)。秋は紅葉が美しく、冬は雪景色の中で温泉を楽しめるのかな…などと想像を膨らませながら駅を出ました。すると山頂に雲をいただいた由布岳が編集部を出迎えてくれます。取材時に渡辺シェフは「活かしてやろうなんて考えていません。湯布院の自然や農家さんが育む食材に活かされているんです」と話されましたが、由布岳の姿にはこのような尊さがあります。

フランスも湯布院も奥さまと二人三脚

シェフがキッチン、奥さまがホールを担当されており、シェフは奥さまを「マダム」と呼びます。お話をうかがうと福岡のレストラン時代に知り合い、フランスにも一緒に渡られたそうです。「ラ・ヴェルヴェンヌはフランス語で、英語ではレモンバーベナ。レモンのような香りのするハーブです。

南仏で出会ってとても気に入り、お店の名前にしようと考えていたんです」と奥さま。その横でピンセットを使って前菜に野菜をデコレートするシェフに「繊細な仕事ですね」と編集部が話を向けると「いえいえ全然」と返されます。ピリッとした雰囲気に助け舟を求め、奥さまへ目をやると「見ての通り繊細ですよ」とにっこり。シェフも顔を上げ笑顔になり、場がなごみました。素敵なコンビネーションがお料理をより美味しくさせるのだと人気の秘訣がわかりました。

料理の国境を越えた渡辺流のフレンチ

渡辺シェフは日本でフレンチを学んだ後、フランスに渡り、約7年間本場で修業されました。ところでフレンチなのになぜリゾットが出されるのかおわかりですか? シェフが修行した南仏のコート・ダジュールはイタリア領だったことがあり、イタリアの文化が残っているそうです。なのでフレンチなのにリゾットが出されるのだとか。シェフは和食料理も学ばれており、日・仏・伊の文化と技術に、大分・湯布院の食材を使ったお料理を生み出されます。その枠にはまらないスタイルは、渡辺流フレンチと言えるお料理です。

美味しいから使ううちに30種類以上の野菜を使用

奥さまは「一つのコースで30〜50種類の野菜が入ります」と教えてくださいました。シェフに理由をたずねると「特別、野菜をたくさん使おうとも思ってなかったんだけど、湯布院の野菜が美味しくて、気づいたら30種類以上使うようになった」と話されます。「シェフが今日の野菜や食材をみてコースを決めますし、同じ料理でも使うお野菜が異なるので、いつ来られても同じコースにはなりません」と奥さま。そのようなことを言われると編集部は何度も来たくなってしまいます。

野菜たっぷりで優しいのに味に輪郭があり、くっきりと旨味を感じるお料理をみなさまもご堪能ください。

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