暮らしと色彩コミュニケーションvol.2

おいしく食べて健康に

食べ物は色で選ぶ

毎日の食事で色を意識したことがあるでしょうか。私たちが毎日食べているすべての食材には、赤のトマトや赤身の魚、黄色のレモンや卵の黄身、緑の野菜、白の米や大根、黒の昆布や黒豆などそれぞれの固有の色があります。同時に緑黄色野菜のビタミン、トマトのリコピン、ニンジンのカロチン、昆布のカルシウム…食材の色は食物に含まれる栄養素の色でもあるのです。そのために色で食材を選ぶと必要な栄養素が摂りやすくなり、バランスの良い健康的な食生活に繋がります。

5色を食べて健康に

中国の五行思想「陰陽説」では食べ物に「赤、黄、緑、白、黒」の5色をそろえるように説いています。5色をそろえて用意した食事こそが、おいしく食べて健康になる「医食同源」のもとだとされており、この説は日本の会席料理にも取り入れられ、四季折々の食材を盛り込む日本食のもとになっています。日本食が健康や長寿に良いとされているのは、数多くの食材を用い、5色をバランス良く取り入れているからです。毎日の食事、お弁当などにも気軽に5色を取り入れることができます。早速今日の食事から、色を意識してみましょう。

食欲に影響を与える色の効果

赤や橙、黄などの暖色系の色は自律神経を刺激、活性化させ、食欲を増進させる“おいしい色”とされています。体調や気分によって食欲がない時は、オレンジなどの明るいビタミンカラーが気持ちを明るくさせます。緑のお抹茶や茶系のコーヒーなどの飲み物は気持ちをやわらげる効果があります。反対に食べ物の色で見慣れない青などの寒色系の色は食欲を低下させる色とされています。寒い季節には濃い色、暑い季節には薄い色など季節によっても感じ方は変わります。体調や季節に合わせて、食材の色を選んでみてはいかがでしょうか。

料理を美味しく見せる色使い

料理と器の組み合わせ、盛り付けでも色の調和が大切です。一般的には濃い色の料理には薄い色の器、薄い色の料理には濃い色の器が、料理の色を鮮やかにし、おいしく見せます。盛り付けの際には、赤身の刺身に緑の大葉を添えるなど色に対比をつけると、見た目も映え、食欲もそそられます。テーブルクロス、ナプキンなどテーブル周りに気を配り、色の調和で料理をおいしく楽しむこともできます。

照明にも配慮を

お店で見た食材の色味と家で見た色味が違って見えたことはないでしょうか。お店では扱っている食材を、よりおいしく見せる照明の配慮がされていることが多いのです。白熱灯の光は料理の色を鮮やかに見せ、陰影がはっきり出るのでおいしそうに見えます。蛍光色は暖色系の食材を青白く見せてしまいます。

上野邦子 先生

カラー&住環境コンサルタント
シニアライフスタイル研究室 輝き倶楽部主宰

病院の秘書を経てインテリア&カラーコンサルタントとして活動。色彩&住環境の講演、執筆、様々な業界のカラープランニング&コンサルティング、コーデイネート、企業アドバイザー、カラー講座講師、アドバイザーなどで活動中。

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