あなたはファイナンシャル・セラピーという言葉を聞いたことがありますか?
日本ではほとんど知られていませんが、アメリカでは学会が設立され目覚ましく進展している心理療法とお金を掛け合わせて統合した新領域です。心理学会によると、日々の暮らしの中で最も強いストレス要因は仕事や人間関係ではなく、実は「お金」でした。たとえば、老後資金、買い物依存、子どもの引きこもり、収入以上に支出の多い家計、子どもの教育費、溜め込み障害、相続、などなど現代社会は、お金が関係するトラブルを多く抱えています。そこで今回は、「お金と心」について表面的なやりくり法ではなく、お金への考え方が変わるようなお話を日本におけるファイナンシャル・セラピー第一人者のご夫婦にお聞きしてきました!
1番大切な事はお金を好きになること。お金を好きでいいってこと。人間と一緒で、こっちが好きじゃないのに、相手に好かれることはないよね。日本ではお金が好きというと、不道徳とか思われてしまう心配もあるよね。周りの目が気になるなら人に言う必要はないので、「私はお金が好き、大切なんだ」と言っていいと自分に許可してあげて欲しいんだ。お金が好きという気持ちを持つと、自然とお金と上手くお付き合いできるようになるよ。
上手にっていうのもクセものよね。お金が無くても幸せに過ごしたいって思うとしたら、お金の不安が無くなるってことが大切。反対に、お金があった方が幸せな方は、お金が沢山手に入ることが幸せなこと。自分はお金とどう付き合いたいのか、を考えてみて欲しいわね。まずはお金がいっぱいあったほうがいいのか、無くても幸せに過ごしたいのか、それとも自分にとってほどよいお金があれば幸せなのか、自分がどうしたいのかをじっくり考えてみるのも1つね。
まず最初に、「自分にとって幸せって何だろう」と考えてもらいたい。その上で、「お金って自分の幸せにどのくらい関わってくるのか?」をよく考えてみると、幸せの非常に大切な一側面がお金だって分かるんだ。お金があれば幸せになれると思っている人は、お金があっても幸せにはなれない。お金は、幸せの一側面でしかないのでお金が無いと残念ではあるけど不幸ではない。お金が無くても他の側面でいくらでもカバーできるよ。「お金=幸せ」、になっている人はお金に振り回されてしまってお金が無いと本当に不幸せになってしまうね。
心がお金に囚われている時は、「自分の人生の主人公は自分で、お金は自分の人生を良くするためのあくまで手段なんだ」と考えてもらいたい。囚われている時は、気づかない間に主人公がお金になっていて、自分はお金の奴隷になってしまっているんだ。しかし、自分の人生の主人公は自分であり、お金は大切な手段だと考えると振り回されなくなるよ。どれだけお金を持っていても一緒。人生の主人公は自分だ、と気づけないと、どこまでもお金に執着し、惑わされて振り回される。
私達は心の専門家なので、「執着したくない」と聞くと「もっと執着したらいい!」と思うんです。ストレスに感じる方は、心のどこかで「お金に執着したらいけない」と思ってしまっていて、それがストレスになっているの。私達は何かに執着しなければ生きていけない生き物です。
執着しないようにすると、ずっと執着してしまう。お腹が減っていても、実際はそんなに食べられないよね。それと同じで、ちゃんと欲求を満たしてあげると、どこかで自然とその欲求は止まるから。そして、心を込めて執着すると、それは「こだわり」になるよね。
今、NHK大河ドラマで「青天を衝け」が放送されていますね。主人公の渋沢栄一は、『論語と算盤』で今の日本を創った方。論語で道徳面を、そして論語に裏打された商業を行う事に徹底的にこだわった人。論語と算盤(お金)にこだわり抜いて、あれだけの偉業を成し遂げたんです。こだわる事は、よりよい物に出会える事でもある。自動反応的にこだわるんじゃなくて、心を込めてこだわることが大切です。
お金が無いせいで両親の仲が悪く不幸に感じる場合は、実際のお金だけじゃなくてお父さんお母さんの「心が貧困」なんだね。極端に言うと、お金が無くても仲の良い両親だったら貧乏でも子供は幸せなの。過去には戻れないから、『今のあなたの家族』のことに目を向けて欲しい。自分やあなたの家族の心が豊かに、心がリッチになるようなイメージをする。そうするとお金に振り回されず幸せを感じられるよね。
私は、「どうすればいい?」というこの方の言葉にものすごく可能性を感じるの。この方は専業主婦でお金を稼いでいないので、お金を使うことに罪悪感がある、それに対して何とかしたいと思っているのよね。こういう方は本当は自分でお金を稼ぐ能力がある方なのではないかな。だけどそれを男尊女卑のような、女性が活躍するのが難しいような、社会的規範や親の価値観が心に刻印されているから、何となく自分の能力を発揮してはいけない、と思っているの。お金を使うことに罪悪感を感じないためにも、働いてあなたの能力を発揮して「働いていいよ」、ということを伝えてあげたい。あなたは能力があって優秀なんじゃないの?ってこと。ものすごく可能性のある方ね。
1つに、この方の不満は、自由にお金が使えないことではなく「私のことを分かってもらってない」、という不満が大きそうだね。私はこんなに家族に尽くしているのに、家族が評価してくれないと思っている。だったら、言いづらいけれど「私はこんなにあなたを想って一生懸命やってるんだよ」と伝えないと気づいてはもらえない。きっと家族はあなたの頑張りを当たり前だと思ってるよ。もっと家族とコミュニケーションを取って欲しい。もう1つは、「自分は本当は何が欲しい?」と考えてみて。物が欲しい場合と、感謝(心)が欲しい場合がある。感謝(心)が欲しい場合は、やっぱりまずは伝えてみて。
厳しい言い方をするけど、戦略ミスよ!家族のことを優先すべきなんて事は強制されていないよね。嫌なら優先しなくたって良くて、欲しい物だって我慢せず買ったらいいのよ。金銭的に欲しい物が買えないのであれば、家族にありがとう!と言ってもらうことが大切。我慢してくれてありがとう、と言われたいのよね。
この方は、欲張りなの。自分でも本当はいろんなものを持っているけど、他人と比較してあれも欲しい、もっと欲しいとなってしまっているね。そんな時は、出てきた感情に対して「欲張りちゃん」とニックネーム付けてみて。その「欲張りちゃん」に、「本当にその人が持ってるものが欲しいの?」と聞いてみて欲しい。問いかけてみると、お金よりも、人に囲まれているのが羨ましかったんだ、とか自分の心の本音に気づけるよね。
とっても良いわね!さすがユキオさん。
簡単!60歳になった時に1年間で200万円稼ぐのは大変ですか?そこまで難しくはないよね。年間200万円を、60歳から20年間働いたら4000万円稼げるね。さらに夫が年間で300万円稼いでくれたら、20年間で夫婦で1億円。さらにそこに年金も加わるね。もう子供も大きいだろうし、若いころのように教育費で沢山お金が出ていく心配はないよね。さらに、働くということは社会参画して身体を動かすから身体も心も健康になりやすい。だから、お金ばかり気にするのではなく、心身の健康を気を付ければ問題ないよね。
「分からない」という事が何よりも不安なのよね。私のところに40代~60代になると、親やパートナーが医療や介護のお世話になる方からお金の相談が来るの。実際に今は、いざ在宅で介護や医療のお世話になる時には保険や国のシステムがあって、自分がやらなくてもいいように専門家が関わってくれると分かった時ようやく安心するの。分からないこと、これから来ることは、自分が経験した事がないから不安なの。いざその時になると、いろんなシステムやサポートがあると分かって安心して、そこで初めて勉強し始める方が多いの。将来が不安なのであれば、その不安をきっかけに、今から本当に必要なお金について勉強しておくと安心すると思うの。