ココロとカラダを整える- 知っておきたい気象病のはなし

梅雨シーズン到来!気象病に要注意

気象病とは、気圧や気温・湿度など、気象変化によって引き起こされる心身の不調のこと。正式な病名ではないため、医師からも他人からも理解されにくい側面がありますが、病院で検査をしても異常が見つからないのに、気象の変化が起きると何となく体調が悪いという場合は気象病の疑いがあります。気象の変動が起こりやすい梅雨を迎える前に、気象病への理解を深めましょう。

医学博士・脳神経内科医

久手堅 司(くでけん つかさ) 先生

気象病・寒暖差疲労など、ユニークな専門外来を持つ「せたがや内科・神経内科クリニック」の院長。自律神経や気象病についてSNSで分かりやすく発信中。著書に「気象病ハンドブック」「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」など。

せたがや内科・神経内科クリニック:https://setagayanaika.com/

多くの女性を悩ませる気象病とは?

(せたがや内科・神経内科クリニック調べ)

気象病に悩む人の多くは、頭痛・首肩こり・めまい・倦怠感・動悸・メンタルなど、心身にさまざまな不調を抱えています。特に注意が必要なのは梅雨と台風シーズン。近年少しずつ認知度が高まってはいるものの、周囲からは「気のせい」「精神的なもの」などといわれることがよくあり、症状に加えてつらい思いをしているという方が少なくありません。

気象病は10〜50代の女性に多く、症状が強く出やすいという傾向があります。その理由の一つが、生理周期や更年期による女性ホルモンの変化。女性ホルモン分泌に関わる脳の視床下部は、自律神経の中枢で、気象病もまた自律神経や視床下部と深い関わりを持つためです。

気象が変化するとなぜ体調が悪くなる?

気象病の大きな要因となる気圧とは、地表を覆う空気の圧力のこと。1平方メートル辺り10トンもの圧力がかかっています。人間の体はこの気圧に負けないよう、体内からも同じ圧力で押し返すことで通常バランスを保っていますが、気圧が変動すると体内の圧力のバランスが崩れ、体調に影響が出るのです。

気圧は耳で感知します。飛行機に乗り、耳が痛くなった経験はありませんか。これは機内の気圧低下により、鼓膜の内側が膨張するため。鼓膜の内側には内耳があり、内耳は「蝸牛」「三半規管」「前庭」から成ります。内耳が気圧の変化を感知すると、その状態が前庭神経(平衡感覚を司る)を経由し脳へ伝わり、脳から自律神経に伝わり、自律神経が乱れると心身に不調が起こる、という流れです。

もしかして気象病?YES or NOでチェック!

あなたも気象病になっていないか、ここで一度チェックしてみましょう。

気象病チェック判定結果解説

症状が出やすいのは雨が降る前と後

12でYESと答えた方にとって症状が最も出やすいのは、雨が降る前と降った後。実は雨が降っている最中よりも、前後の方が気圧の差が激しく、その「変化がつらい」というのが気象病の特徴です。気圧以外に、寒暖差や湿度により症状が引き起こされる場合もあります。

ベースにある不調が気象変化で悪化する

気象病の症状は千差万別ですが、多くの方に共通するのが頭痛。また、ほとんどの方が複数の症状を訴えています。

3〜8は気象病の方にみられる典型的な症状。該当する項目が多いと、必ずしも気象病になるわけではありませんが、気象変化が起こると元々持っている不調が悪化しやすい傾向があります。

原因不明の不調がある場合に気象病かどうかを見分けるポイントは、いつも体調が悪いのか?それとも波があり、気象変化によって悪化するのか?という点。常に体調が悪く、あまり変動がない場合は、気象病とはいえないでしょう。

気象病を招きやすい生活習慣があった!

9、11、13、14は、気象病予防のために平素から気をつけておきたい項目。姿勢や自律神経の働きと関連があります。

10がYESの方は、内耳が揺れや外部からの刺激に敏感なタイプ。気象病のリスクが高まるためご注意を。

気象病の方の中には、あご周りに圧痛や左右差が認められる場合12が多く、食いしばりや歯ぎしりが原因となっていることことも。

15の更年期障害は、情緒不安定・不眠・ほてり・めまい・冷えなどの症状が、自律神経が乱れた状態の症状とリンクします。婦人科での治療で改善しない場合は、気象病や自律神経の面からアプローチしてみてもいいかもしれません。

セルフケア&予防でつらい症状を軽減

ここ数年、気象病への関心の高まりと共に、気象病を扱う医療機関が全国的に増えてきました。体調管理に役立つ気圧予報のアプリも普及しています。

気象病は、日常のちょっとした工夫や対策で症状が改善することがあります。例えば頭痛や首肩こりがある場合は、マッサージやストレッチを行う、全身に倦怠感がある場合は、体を温めたり動かしたりすることなどです。

また気象病にならないためには、慢性的な不調をなくすことが肝心。気象の変化によって不調が増幅しないよう、日頃からメンテナンスを心がけましょう。食生活や睡眠・規則正しい生活リズムなど、自律神経を整えるための生活習慣を身につけることも大事です。

気軽にできる気象病対策 – 6つのオススメ生活習慣

マッサージ – 頭痛や首肩こり、耳鳴りの緩和に

頭部や耳まわりがこり、脳が血行不良の状態になると、脳に十分な酸素が行き渡らず、不調につながりやすくなります。そこで取り入れたいのが、マッサージ。頭や顔、あご・首まわり、耳などをほぐし、筋肉のこりをとりましょう。

アロマ – 香りのちからで自律神経が整う

アロマオイルの香りは、嗅覚神経を通じて脳へと伝わり、視床下部に作用して自律神経系に影響を与えます。リラックスやリフレッシュしたいとき、香りを活用してみてはいかがでしょうか。

※妊娠中の方・乳幼児のご使用は控えてください。
※通院中の方・服薬中の方はかかりつけ医とご相談の上、使用してください。
※精油取り扱いの際は、使用上の注意事項をよくお確かめください。

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