こころと向き合う!メンタルヘルス相談室

伊藤 厚子 先生

臨床心理士。メンタルサポート アレーズ代表。東京理科大学学生相談室専門相談員。ストレスマネジメント、メンタルヘルスを中心に職場の問題をとりあげた講演や研修を行う。働く女性のバックアップもテーマで、女性誌で考え方のヒントなどを紹介するほか、「働く女性の心とからだの応援サイト」(厚生労働省)を監修。全国の自治体等での健康(男女更年期含む)に関する研修会にも登壇。

自分の不調をつい我慢していませんか?

メンタルヘルスとは、こころの健康状態のこと。こころは他の体の部分とは異なり、検査をして数値や画像などで状態を把握することはできません。ですが、日常的なストレスや悩みに対して自分で対処ができ、所属するコミュニティに何かしらの貢献ができている状態は、一般的に「こころが健康である」と捉えられます。

メンタル不調は、ある日突然引き起こるものではありません。「なんとなくの不調」がいつの間にか積み重なり、自分で対処できないまでになる場合や、本人の自覚がないまま進んでしまっている場合があります。いずれにしても、日頃から自分のこころや体の状態に気を配り、違和感や不調を放置してしまわないことが大切。

 いつも自分のことは後回しで、家族や社会のために無理ばかりしていませんか? この機会に振り返ってみましょう。

自分や大切な人のために知っておきたいこころのコト

メンタルヘルスの取り組み方について、伊藤先生にお伺いしました。

こころの不調はなぜ起こるのですか?

ストレスが原因です。

ストレスの要因は人それぞれですが、一般的には、仕事の内容や質・量、人間関係、住環境や生活の変化などが挙げられます。またストレス耐性やストレスへの対処能力も個々で異なります。そのため同じ環境下で、ある人にとっては問題がないことでも、別の人にとっては大きなストレスとなってしまう場合があります。

メンタル不調の症状にはどんなものがありますか?

うつ病の他、さまざまな 種類や症状があります。

原因や症状の出方は人それぞれで、治療の方針は総合的な判断により決められます。左記は一例です。

どうすれば早くこころの不調に気づけますか?

これまでとは違う変化を見逃さないことが大切です。

自分でも分かりやすい変化には次のようなものがあります。

16ページのチェックシートの項目なども参考にしながら、自分のこころの変化とよく向き合うようにしましょう。

周りの人から見て気がつきやすい不調のサインとしては、「以前は社交的だった人が急に誰とも会わなくなった」「おしゃれが大好きだったのにメイクをしなくなった」などが挙げられます。SNSで突然友達をブロックする、連絡を断つ、リストカットのあとが見られるなども分かりやすいでしょう。いずれにしても「以前はそうではなかったのに、変わった」という点がポイントです。

こころの不調を感じた際にやるべきことは?

できるだけ早めの対処が必要です。

自分で対処できる場合は、ストレスから遠ざかる、好きなことをしてストレスを発散するなどの方法があります。気分の落ち込みや不眠、好きなことが楽しめないなどの症状が毎日2週間以上続くようであれば、医療機関を受診しましょう。直接相談をすることに抵抗を感じる場合は、電話やメールで相談できる機関もあります。

こころの不調は本人が自覚していない場合もあります。もし周りが先に気づくことができたら、「どうしたの?なにかあった?」「最近眠れていないみたいだけれど大丈夫?」などと、話しかけてあげてください。誰かに話すだけで気持ちが楽になり、症状が改善することもあります。

こころの不調予防のためにやっておきたいコト5選

統計では、一生のうち7〜8人に1人はうつ病にかかるとされています。けれど「本人のこころの持ちようでしょ」「もっとポジティブに考えれば」などといわれることも多く、病気への理解が十分に浸透しているとはいえないのが現状。

 うつ病の際は、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンなどの放出量が不足するなどし、神経細胞間の情報伝達がうまく行われていないことが判明しています。決して怠けているわけでも、気分で何とかなるものではありません

 メンタル不調を予防するためにできることの一つに、「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの生成を促すという方法があります。ここではその具体例を5つご紹介します。

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