知っておきたい!知覚過敏 – 歯への刺激に警戒
気温が高く暑い日々だと、冷たい食べ物や飲み物につい手が伸びる…という人も多いと思います。
気をつけたいのが、冷たい食べ物や飲み物を取ることによって歯が“ズキン”と痛む「知覚過敏」。
知覚過敏の原因や対策を知り、美味しく健康に過ごしましょう。
萩野礼子 先生
東京医科歯科大学歯学部卒長、同大学院顎顔面補綴学専攻。
日本顎顔面補綴学会認定医。
東京医科歯科大学歯学部付属病院、国立がん研究センター中央病院歯科などに勤務。ときわ会常磐病院歯科ではいわき市初の訪問歯科の立ち上げに参画。2019年、東京都文京区におはぎ在宅デンタルクリニックを開設。
歯肉の下がりに注意!?
知覚過敏とは、虫歯のない歯でも、冷たい水がしみたり、歯みがきをしているとき摩擦した箇所に痛みが起きる症状です。甘さや酸っぱさを感じるものなど、刺激物でも知覚過敏を起こすことがあります。
刺激がなくなると痛みもなくなりますが、ときには歯みがきできなくなるほどの痛みを伴う場合も。歯根部はセメント質で覆われており、そのセメント質は薄く柔らかいため、簡単に削れて象牙質が露出ししみるため、歯の痛みが起こります。歯の内側となる象牙質は、外側であるエナメル質に比べてやわらかく、歯のさらに内部の神経や血管で構成される歯髄に向かって象牙細管と呼ばれる細い管が通っています。
歯みがきや擦過、冷風などの刺激があると、象牙細管内を満たしている内容液が移動し、内部の歯髄神経を直接刺激することで痛みが生じます。そのため、歯肉が下がった部分はしみたり、痛みが起こりやすいとされています。この知覚過敏になりやすい「歯肉が下がる(歯肉退縮)」原因には、噛み合わせ異常や、食いしばり、歯ぎしり、歯周病の進行、硬い歯ブラシの使用、そして強い力を入れてゴシゴシと磨くといった間違えた歯みがきの仕方などがあります。
また、一過性の痛みでも、それが続いたり、ひどく感じるようになると、痛みのせいで歯みがきがやりづらくなることから、プラーク(歯垢)の除去が不十分になります。そうなると、虫歯や歯周病を招いたり、すでに起きているトラブルをさらに悪化させることになります。そして、プラークが出す酸により、象牙細管がさらに開いてしまうことで、知覚過敏も悪化していきます。
正しい歯みがきケアで知覚過敏の予防、対処を!
知覚過敏と思われる症状が続いた場合は、さらなる重症化を防ぎ、また原因を突き止めるためにも早めに歯科医院に相談しましょう。適切な処置、そしてホームケアの指導をしてもらうことが大切です。自身でできるセルフケアとして、何より正しい歯みがきを徹底することが大切です。日々、これらのポイントに気をつけながら歯を磨きましょう。