婦人科検診は忘れずに実施しよう-新しい年を迎える前に
年一度の健康診断は受診している人も多いと思いますが、併せて、婦人科検診を受診することが推奨されています。各個人の就業形態や、自治体、企業などによって、受診する時期や内容、施設など様々異なりますが、年齢、体の状態に問わず最低限の検診は年に一度は受けておきたいもの。改めて婦人科検診について、知っておきましょう。
佐藤 杏月 先生
八丁堀さとうクリニック副院長
日本産婦人科学会専門医/医学博士
日本医科大学卒。日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。3人の子供の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の主人とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
受診のために状態や年齢など見極めは必要?
婦人科検診は、女性特有の病気の有無を確認する検査です。女性のがんでは乳がんが1位、子宮がんが5位と言われていることもあり、女性は健康診断や人間ドックだけでなく、婦人科検診も定期的に受診することが推奨されています。
婦人科検診は明確な定義がないので、医療施設によって検査内容も異なります。年齢やその時の体の状態や状況に合わせて選択しましょう。「まだ若いから」と、不調を感じずともできるだけ年齢問わず早めから受診する習慣をつけることがおすすめです。特に受診したほうがいいとされるのは、30歳以上、食生活や睡眠などライフスタイルが乱れている実感がある、生理痛が重い、生理不順、将来妊娠を望んでいる、といった女性。
忙しい、恥ずかしい、費用が…など色々不安があるかもしれませんが、女性医師に診てもらえる施設があったり、検査内容によって費用も変わるため、「毎年は受診できていない」という人は、調べてみることから始めると良いでしょう。
“婦人科”には、どんな検査があるの?
婦人科検診は、一般的には子宮がん検診、乳がん検診を行う場合が多いですが、医療施設によって検査内容は異なります。子宮がんや乳がんを患っていないか確認するため、自分にとって必要な検査が含まれているか、年齢や状況に合わせて検査を選択します。
乳がん検診
子宮がん検診
子宮がん検診の「子宮頸部細胞診」と乳がん検診の「乳房視触診」「マンモグラフィ(乳房X線)」の併用は、それぞれのがんの死亡率が下がるとされていますので、年齢に該当する人はできれば両方受診すると良いでしょう。
また、婦人科検診を躊躇してしまう理由の一つに、「医師が直接、膣に指を入れて診察することに抵抗がある」というもの。その方法は「内診」と呼ばれ、子宮や卵巣に腫れなどがないかを調べますが、近年では検査内容に応じて器具を使う方法が主流です。膣の様子を確認する「コルポスコピー検査」や子宮や卵巣などを観察する「経膣エコー検査」などがあります。
「婦人科検診」単体での受診はもちろん、体のほか部位を併せて受診できる健康診断や人間ドックとのセットになった「レディースドック」と呼ばれる検査もあります。その時の状況を見ながら、場所や内容を探しましょう。まずは自分の職場の提携先や自宅近所のクリニックなど、受診しやすいスタイルを調べることから始めるのがおすすめです。