MIRAI 駆け込みクリニック vol.17

女性に多い生活習慣病「骨粗しょう症」

特に更年期以降の女性に多く発症しやすいことが知られる「骨粗しょう症」。
要因や対策を知ることで、生活習慣に取り入れて発症を招かないようにしていきましょう。

井上 留美子 先生

整形外科医。松浦整形外科院長。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。正しく身体を使い、関節を動かして体の基礎をつくることを目的としたヨガ「整形外科ヨガ」を考案。啓発活動を展開している。

あなたの骨は大丈夫?

骨粗しょう症とは、骨の強度が低下してもろくなることで骨折しやすくなる病気です。骨の強度が低下する主な要因は、女性ホルモンのエストロゲンが欠乏すること、加齢、また運動不足などの生活習慣とされています。一般的に広く認識されている”原発性骨粗しょう症”は、加齢に伴うエストロゲン欠乏のため、閉経後の女性が発症しやすい傾向です。骨粗しょう症は骨折しやすくなるだけでなく、体全体の不調を招きかねない病気です。チェックが多いほど不調や病気を引き起こすリスクが高いと言えますが、1つでも当てはまる項目があれば注意していくことが必要です。

自分の骨密度を知ることから

女性が男性よりも骨粗しょう症リスクが高いのは、閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下が原因です。女性ホルモンは骨を守る機能があるため、閉経により一気に骨量が減少します。閉経後2年間は最も骨量が減り、次点が閉経前2年とされるため、更年期はより注意を。また、過度なダイエット経験、運動不足だった、日常生活で不摂生だった、母親や祖母が骨粗しょう症、食生活に偏りがあった、若い頃に運動経験がない、現在運動不足という人も骨折の高リスク。

骨に必要なビタミンDのほとんどは日光に当たることで生成されるため、普段から日焼け止めをしっかり塗り、日傘をさす習慣がある美白意識の高い人はビタミンD不足の可能性があるため注意しましょう。

骨折リスクが高まるのも閉経後で、50歳以上の3人に1人は背骨骨折という報告があるほど最も骨折しやすい部位は背骨です。自分の体を支えているだけで背骨がつぶれる圧迫骨折が多く、「いつのまにか骨折」という別名も。痛みを感じないため、気づかず放置している人も多く、背骨の加重バランスが崩れ次から次へと骨がつぶれる骨折の連鎖(ドミノ骨折)になり、日常生活に多大な支障をきたします。また、大腿骨骨折も多く、8割は女性。背骨と大腿骨の骨折は、そのまま虚弱や寝たきりに繋がるため注意が必要です。

骨折を回避するには、骨密度の維持が重要。まずはその時の骨の状態を知ることが大切なので、45歳を過ぎたら必ず検診受診を。50代以上の人の骨密度は、80%以上あれば安心ですが、70%以下は骨粗しょう症です。60%以下になると重度の骨粗しょう症となり、骨折が必発し、死亡リスクも高まります。

栄養摂取と最適な運動で予防を

骨密度を維持するには、食事に気をつけることと運動が不可欠です。骨の材料となるカルシウム(Ca)とタンパク質、Caの吸収に必要なビタミンDを積極的に摂りましょう。さらに骨の形成をサポートするビタミンK、丈夫な骨を作るマグネシウム、亜鉛とカロテノイドなどの抗酸化物質も必要。バランスのよい食事が大事で、まずCa、タンパク質、ビタミンDは最低限、意識的に摂ることが大切です。骨は重力を感じる刺激を受けると破壊と再生が促進されるため、縄跳びのように跳んで地面に着地するような運動がおすすめ。かかとは最も衝撃を受けやすく、”ミニジャンプ”でも衝撃が骨に加わり、全身の骨を作る細胞に刺激が伝わるとも言われています。つま先立ちになってストンとかかとを落とすだけの動きでもOK。しかし、骨粗しょう症が進行している場合は軽い運動でも骨折する場合があるので、該当しそうな人は骨密度を確認し医師の指導のもと行ってください。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

ツールバーへスキップ