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栄養を効率よく摂り食べながら健康に!
実りの季節。食欲の秋でもあり、いつも以上に食事が楽しみという方も多いのでは?
食事は、私たちが生きていく上で必要な栄養を補給するためにとても重要。ところがせっかくの栄養も間違った摂り方を続けていると、体に余計な負担をかけてしまいかねません。
そこで、三大栄養素の効果的な摂り方を管理栄養士さんにお伺いしました。これから年齢を重ねても元気で活動的に過ごしていけるよう、栄養摂取に役立つヒントを、今号から3回に分けてお伝えしていきます。
山本 瑞恵 先生
管理栄養士・糖尿病療養指導士・スポーツフードアドバイザー。整形・形成・血管外科と糖尿病内科など足病医のスペシャリストが集まる「足と糖尿病の専門病院 下北沢病院」に勤務。管理栄養士として日々、患者さんの栄養指導・食事評価・食事介助などを行う。雑誌・ウェブサイトでの記事監修・執筆実績あり。
脂質のキホン
嫌われモノの代表格 でも体には不可欠!
脂質は食用油やバター、肉類の脂などに含まれます。太る、体に悪いなどのイメージがありますが、脂質は生きていくための重要なエネルギー源。体内でホルモンや細胞膜などの材料としても使われ、体温の保持や内臓を守る役割があります。
1gあたりのエネルギーは9kcal。これは糖質・タンパク質の4kcalと比べ効率がよく、また糖質と違い脂質は水に溶けないため、貯蔵に適しているという特徴があります。1日の摂取基準量は、一般的な成人の場合、全エネルギーの20〜30%が目安です。
脂質は種類が豊富。体内での働きもさまざまなので、その違いを理解しておくことが効率のよい摂取につながるでしょう。
脂質を制する上で知っておきたい中性脂肪&コレステロールのコト
健康診断で必ず登場する中性脂肪とコレステロール。そもそも何なのか、ここでおさらいしましょう。
中性脂肪とは?
血液に含まれる脂質の一種で、体のエネルギー源となるもの。エネルギーとして使われなければ、いわゆる「体脂肪」として皮下や内臓周辺に蓄えられる。
コレステロールとは?
体に必須な脂質の一種。細胞膜を構成する成分で、ホルモンや胆汁酸などの原料にもなる。7〜8割が肝臓でつくられ、食べ物から摂取されるのは2〜3割程度。
女性は更年期を迎えると脂質異常症になりやすい!?
脂質異常症は、血液中の中性脂肪やコレステロールなどの値が多すぎたり、低すぎたりと正常域をはずれた状態。自覚症状はないが、放っておくと動脈硬化や心筋梗塞などを招く。
女性の場合、更年期に入り女性ホルモンの分泌が急激に低下すると、悪玉コレステロールの量が増える。このため50代以降の女性に脂質異常症が多く、注意が必要。
コレステロールの善玉と悪玉はどう違う?
LDL(悪玉)は、肝臓から全身にコレステロールを届ける運び屋。そのおかげで細胞膜やホルモンをつくることができる一方で、体内で活性酸素が増えすぎると酸化が進み「酸化LDL」に。これが動脈硬化を招くため悪玉と呼ばれる。
HDL(善玉)は、過剰なコレステロールを回収し肝臓に戻す。
脂質は脂肪酸からできている!各種類別、摂るべき脂質
脂肪酸は脂質を構成する主成分で、炭素・水素・酸素が結合してできたもの。構造により種類が分かれます。
ふだんの食生活に役立てたい脂質と上手に付き合うコツ
ここからは、さらに効率よく脂質を摂取するための、商品の選び方や摂り方のヒントをご紹介します。
もう迷わない!食用油の選び方
買い物に行き、棚にずらりと並んだ食用油を見て、どれを選べばよいのか分からなくなることはありませんか? ここでは代表的なオイルの特徴をまとめました。用途・目的などに合わせて使い分けてみてください。
意識しておきたい見える油と見えない油
いくら体によい成分を含む脂質でも、必要以上に摂りすぎるのは体にとって悪影響。特に現代人は脂質の約8割を「見えない油」、残りの2割を「見える油」から摂取しているといわれています。ダイエットで脂質を制限しているつもりでも、実は意外と多く摂取してしまっているケースが多くあります。気をつけましょう。
工夫しながら摂れば脂質は敵じゃない!
ビタミンA・D・E・Kなどの脂溶性ビタミンは、脂質と合わせることで吸収率がUPします。中でもビタミンAは主に緑黄色野菜に含まれ、油との相性もGOOD。また脂質の分解にはビタミンB₂が必要です。レバーや牛乳、海苔、干ししいたけ、納豆などに多く含まれています。
どうしても揚げ物を食べたい場合は、週に1回程度なら問題ないでしょう。食材にもよりますが、衣が薄い方が油を含む量が少ないので、フライよりは天ぷら、天ぷらよりは唐揚げを選んでみてはいかがでしょうか。
脂質は消化スピードが遅く、胃もたれや消化不良を招くこともあります。脂質を含む料理には酢を入れたり、酢の物と一緒に食べたりすると、比較的さっぱりと食べられそうです。