賢い糖質コントロール術

山本 瑞恵 先生

管理栄養士・糖尿病療養指導士・スポーツフードアドバイザー。整形・形成・血管外科と糖尿病内科など足病医のスペシャリストが集まる「足と糖尿病の専門病院 下北沢病院」に勤務。管理栄養士として日々、患者さんの栄養指導・食事評価・食事介助などを行う。雑誌・ウェブサイトでの記事監修・執筆実績あり。

糖質のキホン

三大栄養素の一つ-大切なエネルギー源

私たちが主食として食べるごはんやパン、麺類などには炭水化物が含まれています。炭水化物は、脂質やタンパク質と並ぶ「三大栄養素」の一つで、生命を維持したり、身体活動を行ったりする上で欠かせないエネルギー源です。

糖質とは、この炭水化物から食物繊維を除いたものの総称。大切なエネルギー源ですが、過剰に摂取してしまうと中性脂肪として体に蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因となります。

主食や甘いものばかりに偏った食生活は避け、適切な摂取を心がけましょう。

甘いものから甘くないものまで-糖質の種類はこんなにたくさん!

糖質の最小単位は単糖。結合する単糖の種類や数はさまざま。構造が変わると吸収の過程にも違いが出ます。

糖質を摂り過ぎるとなぜ太る?血糖値とインスリンの関係に注目

糖質の過剰摂取が肥満につながる原因を知るためには、体内での糖吸収の仕組みを理解しましょう。

糖吸収のカギを握る血糖値&インスリン

私たちが食事をすると、糖質は最小単位であるブドウ糖(グルコース)に分解され、小腸で吸収されます。そこから血液によって全身の各組織に運ばれ、活動のためのエネルギーとして使われたり、肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄えられたりします。

血糖値とは血液中のブドウ糖濃度のこと。先述の流れにより、食事をすると血糖値が上がります。一方で、すい臓では血糖値を下げるホルモン・インスリンを分泌。インスリンは血糖値を一定に保つ役割を担っています。

またインスリンには、脂肪の合成を高め、脂肪の分解を抑制するという作用も。従って、糖を多く摂取するとインスリンが過剰に分泌され、そのぶん脂肪が蓄積されやすくなるのです。

糖質と上手に付き合うコツは血糖値コントロールにあった!

血糖値は食事の摂り方により変動します。血糖値をコントロールして、健康的に過ごしましょう。

血糖値を安定させる食事の方法とは?

インスリンの働きを正常に保つためには、食後の血糖値の急上昇・急降下を防ぐ必要があります。「朝ごはんを食べる時間がない」「ダイエット中だから」と、食事を抜くのは×。次に食事を摂った後、血糖値が上昇しやすくなったり、余分に糖質をため込みやすくなります。

また栄養バランスを考えない、糖質に偏った食事も控えましょう。外食が多い人でも、麺類のみや丼物だけを食べるのではなく、定食を選んだり、サラダを一品追加したりすれば、さまざまな食材を摂取できます。

さらに血糖値を急激に上昇させないためには、食べる順番も意識して。炭水化物を食べる前に、野菜サラダなどの食物繊維や、肉・魚などのタンパク質食材を食べるとよいでしょう。

低GI食品を味方につけて食後の血糖値の急上昇を防ぐ 

血糖値を急激に上げやすい食材と、ゆるやかに上げる食材。意識して血糖値コントロールに役立てましょう。

食品によって異なるGI値とは?

GI(※)値とは、食後血糖値の上昇度を示す指数のこと。ブドウ糖摂取時の血糖値上昇率を100として、相対的に表されます。GI値の高い食品を摂ると血糖値が急上昇、反対にGI値が低い食品を摂れば、血糖値はゆるやかに上昇します。低GIの目安は60未満とされています。

※GI=Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略

それでも食べたい甘いもの-ゆるっと糖質制限の極意

糖質の過剰摂取は控えたいけれど、甘いものだって恋しい! そんな人必見の糖質コントロール術をご紹介。

甘いものを食べるなら間食よりも食後がベター

3食の食事以外に糖質たっぷりのお菓子を食べると、血糖値の下がる時間がなくなり、インスリンをつくるすい臓への負荷が増します。間食をするなら、ナッツや果物、ヨーグルトなどの低GI食品を選ぶとよいでしょう。

それでもやはり「もっと甘いものを食べたい!」というのであれば、食間よりも食後のデザートとして食べるのがおすすめ。空腹時にいきなり甘いものを食べるよりも、食事などである程度血糖値が上がっている状態の方が、急上昇を抑えられます。

また最近は糖質制限ブームの影響もあり「甘いけれど低糖質」を実現した食品も多く販売されています。これらを活用し、低糖質タイプに置きかえていくのも策の一つです。

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